Yoshitaka Arita Architect Office

桜ヶ丘の住宅

House in Sakuragaoka | 東京都多摩市
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開口

1)開きながら閉じ、閉じながら開く

都市の中で大開口を設けても、暑さや視線の問題で逆に閉じられてしまう事が多い。であれば、「開きながら閉じること」あるいは「閉じながら開くこと」を最初から積極的にデザインする必要があると考えました。外側格子折戸は夏の暑さと目隠しの両方を解決する、日本の都市住宅にとって有用なフィルターです。
和風住宅の「雨戸+網戸+ガラス戸+障子」の組合わせはとても良く出来た頭の良いデザインですが、デザインのテイストを決めてしまい、またいくつかの点で現代の使い勝手に合わない点があります。
そこで、この住宅では主な開口を「外部格子折戸+網戸付アルミサッシ+レースカーテン」の組み合わせとしました。外部格子折戸は外側遮熱、目隠し、防犯機能を担い、レースカーテンは目隠し機能(特に夜間)とともに、格子折戸の影を写すスクリーンとなります。格子は、雨戸と異なり遮熱しながら外を眺める事が可能であり、障子とは異なり目隠ししながら通風が可能です。

2)隠れながら見る

また、外部格子は(コンラート・ローレンツの動物行動学的)「隠れながら見る」状況を作り出します。このことは暮らしやすさや安心感に繋がると考えています。

3)「表情」を変化させる

通常、住宅の外観が日常的に変化することはありませんが、
この住宅は、四季の変化や、日々の天候の変化、太陽の高度、住み手の気分、室内の出来事の変化により、折戸が開閉しその表情を変化させます。その開閉の振る舞いは、都市に対する働きかけでもあり、都市との距離感をコントロールし関係を作り出す、都市とのコミュニケーションでもあります。
その点で格子折戸は機能美と造形美を併せ持つデザインであるとも言えます。

多様なリビング

平面構成では、内リビング、外リビング、サブリビング、子供リビングと、さまざまな場所を用意している点が特徴です。
「内リビング」と「サブリビング」は通常一体で利用され、4つの庭と接し、常に4面からの採光・通風を得られるよう計画しています。
「子供リビング」は子供達が勉強したり、遊んだりする場所として用意し、対して「子供部屋」はどちらかというと寝る部屋に特化させています。「子供リビング」はダイニングや家事室等、親の目の届くところに配置しています。またこのスペースは3人目の子供部屋が必要になった場合の予備スペースでもあります。

フォーマルとインフォーマル

住宅の計画では、フォーマルさを保てるように計画することが暮らしやすさや家事を楽にすることに繋がると考えています。
たとえばサブリビングはリビングのフォーマルさを保つための工夫で、主に2つの機能を持たせています。
ひとつは、PCデスク、ピアノ、ゲストルームなど多目的な使用で、リビングスペースでのアクティビティーを補完する機能です。学校の理科室でいうなら準備室的なスペースにあたります。
ふたつ目は、急な来客時のインフォーマルな物の緊急避難場所的な機能で、客の目に触れさせたくないものを避難させ引戸を閉めてしまえばリビングはよそいきのスペースとして保たれます。デスクトップのゴミ箱的な役割にあたります。
キッチンを部屋として独立させている点や、シューズクロゼット、納戸、食品庫、ウォークインクロゼット等、部屋状の収納を多く配置しているのも、フォーマルさを維持するための工夫です。

5つの庭

外構では東の庭、南の庭、西の庭、北の庭、キッチンガーデンを配置し、内部の部屋との多様な関係を持たせています。特にキッチン勝手口前にキッチンガーデン(料理に使う植物を育てる庭)を配置しているところが特徴です。

汎用性

この建築は坪81万円(地盤改良別、消費税込)で出来上がっています。特殊解ではなく、他の物件でも応用しやすく、真似しやすいデザイン(外部格子折戸を含め)を提案することを目指した、プロトタイプ的、原型提案的なプロジェクトです。そのため外観は余分なデザインを省き、記号的なものとしています。

桜ヶ丘の住宅

House in Sakuragaoka
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